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ライフスタイルから考える不動産メディア「shokuju」をはじめます

2020.05.26

新たなプロジェクトを始めます。店舗・事務所・アトリエ等と住居を兼ねて使える物件が見つかる不動産メディア「shokuju」です。

コロナ禍前からあたためて、これからより必要とされるであろうと、6月1日にお披露目いたしました。

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店舗向きやアトリエ向き、家族で暮らせる物件など多様に揃えています。物件の紹介にとどまらず、職住一体の実践者のインタビューやお役立ちコラムといった読みものもあります。物件を探していない人でも、自身の暮らし方を見つめるタネにしてほしい、ライフスタイルを考えるWebメディアです。

 

 

「shokuju」を始めようと思ったのは、幾つかの必然が重なってのことでした。

 

生活環境の変化に対応した住宅不足

近年、家族の在り方、情報技術や移動コストといった私たちを取り巻く環境は著しく変化しました。今回のコロナショックでは、固定費の見直しを余儀なくされています。社会の変化に伴い、住むと働くの距離は一気に縮まりつつあります。

一方、受け皿である住まいはさほど変化しておらず、現在も日本の多くの人にとって、郊外に住み都心に通勤、夢のマイホームが理想だったりします。
それは、他の住まい方を提示してこれなかった、我々建築側の責任もあるでしょう。

職住一体という選択肢

不安定な時代に突入し、住まいと仕事場をひとつにするという職住一体という暮らし方は、自分たちを守る選択肢のひとつになりえるのではないか、と考えています。
子どもの面倒を見ながら働ける。介護をしながら店を営む。移住してコンパクトに暮らす。住むと働くの境界をなめらかにすることで、心理的にも経済的にも生きやすく、豊かになれる。これからの時代に必要な価値観を体現しているように、私は思います。
これまでは、ものづくりの作家や小商いなど一部のクリエイティブ層に人気のある住まい方でしたが、今後は、より多くの人にとってのスタンダードになっていくはずです。必然的であり、積極的に選ばれるでしょう。

金銭的にも、優位性があります。たとえば、事務所と住居を各5万円の予算でそれぞれの物件を探した場合、理想の物件が見つかるでしょうか。ただ、職住一体で10万円の予算となると、魅力的な物件に出会える可能性がぐんと高まります。

しかし、職住一体が可能な物件は、なかなか市場にありません。経験した方からは、自ら大家さんと交渉しなければならなかったり、苦労したと聞きます。そこで、「職住一体で暮らしていいよ」と公言してくれている物件を集めました。

 

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ウェイティングが20組以上

守るだけではなく、暮らしを作っていく人たちに、積極的に選ばれていくはず。そう実感するきっかけがありました。
2019年夏、京都市上京区に、「つれづれnishijin」というプロジェクトをプロデュースしました。昔から職住一体が支えてきたこの街に、「あたらしい職住一体群」というコンセプトで、木造戸建て7軒をリノベーション。住居兼アトリエ、アトリエ、住居兼店舗、店舗といった用途を、敷地と建物に合わせて織り交ぜています。
その内、住居兼アトリエ3区画の募集は、改装前から情報を公開したところ、20組以上にお問い合わせいただきました。10万円前後の家賃は、このエリアの坪単価では決して安いわけではないのですが。物件ありきで東京から移住を考えている方、子育て期に入り職住一体を検討する方。もちろん、ニーズがあると思って企画はしたものの、この反響は想定以上でした。募集が3区画しかないのが、申し訳ないくらいの人気でした。

そもそも私は、自分で店を持つ人に対して、「その生き方、良いなぁ、好きだなぁ」という尊敬の気持ちがあります。自分の対応できる範囲で、相手に満足のいくサービスをし、店主の想いが相手に伝わり幸せな時間が流れる。それって、この上ないと思っています。自分は絶対にできない(向いてない)と思っているのですが、餅は餅屋、自分はそういう好きな人達の場を設える側に回ればいいのか。と思って、企画も仲介も、出来ることをしてきました。

なので、メールや内見に来てくれた皆さんの「本当にこういう暮らしを求めていた。もっと作ってほしい。」という声を直に聞くことで、何というか、使命感のようなものがはたらいたのは事実です。

 

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「友達が物件を探してるんだけど」と、知人から、相談があるのも、ほとんどが住居兼○○。
これは、首都圏・海外から移住する際、京都に求めるものに影響していると思います。稼ぎだけなら、東京の方がそりゃあ有利ですし(これからはそうとも言えないかもですが)、京都に来ようという時点で、何らか、暮らしに比重が大きくなっていることは多いです。京都は昔から、職住一帯が支えてきた街ですし、そんな人達を大切にしていきたいという所有者の方も当たり前にいます。
だから、このサイトを京都から発信することに意味があると思いました。

何より、私自身が、職住一体に囲まれた暮らしに恩恵を受けています。
皆さん作っているものが素敵で、最初はお客さんだったけど友達になるような人ばかり。手土産は、今日は誰のにしようと選択肢が豊富なくらいだいたいお客さんのところです。京都にきてから6年間、気づけばそんな人たちに囲まれて、仕事も暮らしも成り立っている自分がいました。

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shokujuでは、物件検索以外にも、考えているコンテンツがあります。

ライフスタイルを考えるきっかけに、読みものコンテンツ

職住一体の実践者に、その暮らしを選んだきっかけや利点・懸念点などを聞くインタビュー。建築的な法規や街の選び方等のお役立ちコラム。執筆を業にするからこその読みものコンテンツです。
実践者に「本当にこの暮らしはオススメ」と何回も応援してもらえたのも、このWebメディアを作ろうと思ったきっかけです。そういえば、はじめましての職住一体のパン屋さんに、「応援しているから」と食パンをいただいたこともありました(すごくない?)。
そして、実践者のこの暮らしにいきつくまで、その後の考え方は、とても興味がそそられるものばかりです。最高すぎて、本当にいろんな人に読んでほしい!と思いながら、毎回原稿を書いています。職住一体は考えていないという人でも、ここだけは読んでほしい。自分の暮らし方を見つめる時間になれればと思います。
職住一体を考えるためのお役立ちコラムもあります。法的有利な条件、『もし京都が東京だったらマップ』を用いたエリアの見立てなど、借りたい方だけでなく、所有者にもささるコラムを執筆予定です。

住居と店舗・事務所の近隣物件セット紹介、職住近接

「職住一体はメリハリがつかないので難しい」、「家族の事情で難しい」。そういう声は、バシバシ届いています。そこで、住まいと働く場を近くにすする、職住近接の住まい方も提唱していきたいと思います。
具体的には、近くの近隣物件をセットで紹介し、もちろんどちらも仲介いたします。そのエリアが好きになって、小さな経済圏で生きたいとなるととても素敵な暮らし。同一エリアで複数物件所有されている地主大家さんにとっても、エリアマネジメントになるので非常に魅力的な貸し方です。
実は私も現在、職住近接で生活しており、その醍醐味を十分に体験しているところでして、これは、とてもやりたかったこと。
こちら、少し準備中ですのでお待ちください。

店舗併用住宅の不動産コンサルティング&設計

地方都市に住んだとき、仕事の種類の少なさに愕然としたことがあります。ただ、住まいと一緒であれば、地方都市であっても店をはじめやすいのではないでしょうか。そこで、職住一体物件の深い見識を持った不動産・設計の立場から、建築コンサルティングを行います。新築でなくても、既に所有されている物件でのリノベーションもお受けします。

誰でも大家になれる「+ヒトヘヤ」

使われていない1室を魅力的な利用者に貸し、利用者探しのマッチングを弊社で行うサービスです。セミパブリックな1室のプロデュー ス・設計も行います。
これからの時代、副業も大きな暮らし方の変化といえます。副収入を得ながら、「面白い人と交流したい」、「この街こんな店があったらいいな」が実現するかもしれません。

 

このように、職住一体が、ライフスタイルとして推したかった暮らし方だからこそ、次々とやりたいことが派生していきます。

shokujuの副題は、「この地に根をはる職住一体の暮らし」
shokujuは、小さく軽やかに、自分たちらしく生きる人のための土台作りを担えれば。それが、穏やかな社会を目指すことにもなると、考えています。

お問い合わせ・取材依頼などは、hello@shokuju.com まで。今後もどうぞお楽しみに。

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